2012年。アメリカ。"Celeste And Jesse Forever".
リー・トランド・クリーガー監督。
大学時代からの親友で恋人だったセレステとジェシーはそのまま結婚したが、いつの頃からか別居して離婚することにしている。だが二人は親友同士であることに喜びを見出すようになり、いつも行動をともにする。
ある日、ジェシーが別の女性と結婚すると言い出して、突然ひとりぼっちにされてしまったセレステがあわてふためいて引き起こす騒動をユーモアと哀しみで描いた物語。
自分で脚本を書いて主演も務めているラシダ・ジョーンズには、『フレンズ』のときのコートニー・コックスを連想させる聡明な女性の持つかわいらしさがあって、ラシダ・ジョーンズが演じるセレステの心が乱れ騒ぐ様子にはつい感情移入してしまい揺さぶられる。
一方で『アメリカン・パイ』や『恋は負けない』の頃のジェイソン・ビッグスを連想させるアンディ・サムバーグの無垢な感じのキュートさにも同じくらい魅力があり、これはセレステとジェシーが正式に離婚の手続きをするまでの物語なので、最後の別れのシーンのもの悲しさは痛々しくてこれがコメディ映画であることを忘れてしまいそうになった。
ラシダ・ジョーンズが自分の経験に基づいて書いたらしい物語には自虐と自己愛とが入り乱れており、単なる恋愛コメディでは収まりきらない生々しさもあって、映画にするときに他人の意見を取り入れて書き直したらしきスマートさはあるものの、
パッケージに書かれている「全米中の女性が共感」というのはうそだろう、反感を感じる人も少なくないはずだと思った。自己中心的な女性のわがままが破たんするまでの物語に過ぎないと思う人もいるだろう。
一番よくわからないのがセレステは一体何をしてお金を稼いでいるかというところだった。メディア・コンサルティング会社を経営しており業界ではそれなりに知られた存在という設定だったが、感情の物語のリアルさについていけていないようなあいまいな印象がある。
しかし、使われている音楽が知らないものばかりだったが、どれも素晴らしくて、やはり音楽の使い方のうまい映画は良い映画に見えてしまう。ラシダ・ジョーンズはクインシー・ジョーンズの娘だということを知って納得した。
IMDB
公式サイト(日本)
知っている俳優はポール役のクリス・メッシーナ以外はひとりもいない作品だったが、ラシダ・ジョーンズもアンディ・サムバーグもこの作品で忘れがたい俳優たちの中に入ってきた。
ポール役のクリス・メッシーナは相変わらずさえない男の役を演じていたが、途中からセレステとちょっと良い雰囲気になったあたりから好感の持てるキャラクターに変化して最後には、「心の準備ができたら、そのときにはぼくに電話して。」とこじゃれたせりふで去ってゆくナイスガイとなった。
セレステとジェシーの友人たちや、周囲の人々ひとりひとりの描写にも暖かい視線が注がれており、ドラマ全体を感じの良いものにしていた。
セレステの秘書でゲイの友人役のイライジャ・ウッドははまり役だった。
『スタートレック』シリーズのクリス・パインが見直さないと気づかないような出演の仕方をしていて、ちょっと笑える。
スキルツという役のウィル・マコーマックという海兵隊っぽい俳優がみょうに印象深いと思ったら、この作品はラシダ・ジョーンズとウィル・マコーマックがかつて恋人同士だったが現在は親友で共同作業で脚本を書く関係にあることに基づいたドラマであるということだった。
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