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Channel: 映画の感想文日記
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★ 『ステイ・フレンズ』

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2011年。アメリカ。"FRIENDS WITH BENEFITS".
  ウィル・グラック監督・脚本・製作。
 クリスティナ・リッチと共演した秀作、『ブラック・スネーク・モーン』のときにも良い演技をするとは思ったものの、ここまで堂々とした役者になるとは予想も出来なかったジャスティン・ティンバーレイク主演のロマンティック・コメディ。
 『ソーシャル・ネットワーク』で光り輝いていたのは、本業がミュージシャンであることから自然と身についた押し出しの良い身のこなしが生かされていたのだろう、
 しかし、この作品を見た限りでは、すでにアメリカ映画の今後を担う重要人物に成り遂げたように映った。
 日本映画にジャニーズの存在が欠かせないのと同じ程度には必要な人材に違いない。
 ジャスティン・ティンバーレイクは、押さえ込もうとしても自然とにじみ出てしまうキラキラした(チャラチャラした?)イメージがジャニーズっぽいのだった。
 イメージとしては岡田准一に近いが、マッチョな肉体やタフさはキムタクっぽく、軽妙さは中居っぽい、自分の弱さを自覚しており、ドラマの中で一人だけ浮き上がったりしないところは草なぎ剛的でもあり、コメディ俳優に必要なインテリジェンスもあり、何より誠実さが感じられる表情はもはやパーフェクトに近い。

 そんなジャスティン・ティンバーレイク主演の映画だったが、相手役のミラ・クニスと二人だけの映画ではなく、共演者にも見せ場が多く、これほどにジャスティン・ティンバーレイクが素晴らしく見えたのは、作品の仕掛けがすぐれているからだということに思い当たる。
 ニューヨークを舞台に男女の友情は成立するのか、という使い古された主題の物語が2010年風にブラッシュアップされて描かれる前半から、
 アルツハイマー病と闘う父親(リチャード・ジェンキンス)が登場して、恋愛を避けてきた主人公の心の闇に踏み込んでいく後半の、家族の物語として恋愛コメディを語り直す後半の展開まで、
 脚本が何度も練り直されていることがよくわかり、
 物語の伏線の回収の仕方が、シナリオ教室のお手本にしても良いほどに見事で、最初にニューヨークを訪れたジャスティン・ティンバーレイクをミラ・クニスがタイムズスクエアで仕掛けたフラッシュ・モブで歓迎する場面がクライマックスの感動的なフィナーレの伏線だったと気づいたときには、もう遅く、誰もが、やられた!という表情で微笑みながらポロポロと涙を流してしまうに違いない。
IMDb 公式サイト(US)
映画の感想文日記-benefits01
 ミラ・クニスの母親役のパトリシア・クラークソンが、1970年代のフリーセックスの時代を生きてきたぶっ飛んだキャラクターで退屈するすきを与えない。ジャスティン・ティンバーレイクの同僚でゲイのスポーツ担当記者を演じるウディ・ハレルソン、チョイ役で登場するエマ・ストーン、その他豪華な共演者を無駄にすることなく全部回収してしまう脚本がちょっと几帳面過ぎて疲れるところもあったが、
 使われる音楽のセンスの良さでごまかされて、あまり気にならない。
 せりふの面白さも最近のラブコメでは最もさえているかも知れない。

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