★ 『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
2012年。 廣野秀明総監督・脚本・原作。 最初に上映されるスタジオジブリ製作の『巨神兵東京に現る 劇場版』という樋口真嗣監督による短編の実写映画がすばらしい。...
View Article★ 『黄金を抱いて翔べ』
2012年。「黄金を抱いて翔べ」製作委員会。 井筒和幸監督・脚本。高村薫原作。 冒頭の梅田の地下街の階段かと思われる場面をひと目見ただけで、井筒和幸映画以外の何ものでもないことがわかる、バイオレンスが物陰に潜んでいる濃厚な空間設計に感動しながら、...
View Article★ 『2000人の狂人』
1964年。アメリカ。"TWO THOUSAND MANIACS". ハーシェル・ゴードン・ルイス監督・脚本・撮影。 『悪の経典』を見て、『2000人の狂人』を思い出した。『悪の経典』とこの映画ではどっちがすばらしいのか、と考えても、素直に『2000人の狂人』のほうがすばらしいとは言えないところが、この名作映画の困ったところだろう。...
View Article★ 『洲崎パラダイス 赤信号』
1956年。日活。 川島雄三監督。芝木好子原作。 今月亡くなった小沢昭一がそば屋の生意気な配達人役で出演している。気持ちよさそうに「洲崎悲歌」とかいう歌を口ずさんでいる。 この映画を見て思ったことは、川島雄三は天才ではないのか、ということだった。こんな映画が日本でも作られていたのか、という驚きがある。ロバート・アルトマンの映画を見たときの感動に近い。...
View Article★ 『レ・ミゼラブル』
2012年。イギリス。"LES MISERABLES". トム・フーパー監督。ヴィクトル・ユーゴー原作。 ジャベール警部役のラッセル・クロウの悪役演技に期待していた。朗々とした歌唱で歌い踊るのかと思っていたら、意外と声が細く、声量もあまりないようだった。...
View Article★ 『桐島、部活やめるってよ』
2012年。「桐島」映画部。日本テレビ。集英社。 吉田大八監督・脚本。朝井リョウ原作。 評価の高さを反映してか、幅広い年代の観客が数多くつめかけていた。...
View Article★ 『風船』
1956年。日活。 川島雄三監督。今村昌平・川島雄三脚本。大仏次郎原作。森英恵衣装。黛敏郎音楽。 『洲崎パラダイス 赤信号』を見たときに川島雄三は天才のように見える、と思ったが、このヒューマンドラマでメロドラマの傑作、『風船』を見たいまとなっては、川島雄三が天才映画監督であることに疑いの余地はなくなった。何と心を揺さぶられる素晴らしい映画であったことか。...
View Article★ 『LOOPER/ ルーパー』
2012年。アメリカ。"LOOPER". ライアン・ジョンソン監督・脚本。 デビュー作の『BRICK ブリック』を見たときに、探偵小説やノワール映画へのあこがれをストレートに出しながら、全体には自分自身の青春を形象化した学園映画として製作されていることに好感を抱きつつも、特に目立ってすぐれたところもないような気がして、これは一発屋映画として消え去るのだろうと思っていたら、 『BRICK...
View Article★ 『21ジャンプストリート』
2012年。アメリカ。"21 JUMP STREET". フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督。 2012年の日本には『桐島、』があった。アメリカにはそれに匹敵するような映画があったのだろうか、と思っていたら、この『21ジャンプストリート』があった。...
View Article★ 『L et M わたしがあなたを愛する理由、そのほかの物語』
2012年。BeeTV. 寒竹ゆり監督・脚本。 沢尻エリカが映画に出演しないのは日本映画にとって大きな損失だと考えていた人は2012年に期待に胸をふくらませながら、『ヘルタースケルター』を待っていたはずだが、これは期待していたものとは違う、という違和感だけが残った、というような話をよく目にしたり耳にしたりしているうちに見逃してしまった。...
View Article★ 『ふがいない僕は空を見た』
2012年。「ふがいない僕は空を見た」製作委員会。 タナダユキ監督。向井康介脚本。窪美澄原作。 川島雄三の『洲崎パラダイス 赤信号』(1956年)を見たときに、いくらタナダユキ監督がすごいといっても、しょせんは相対的なもので、本当にすごい映画の前ではしょぼく見えてしまうなどと思っていたが、 やっぱりタナダユキはすごい、と改めて思い直した。...
View Article★ 『ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春』
2011年。アメリカ。"DEADHEADS". ブレット&ドルー・T・ピアース(ピアース・ブラザース)監督・脚本。 これまであるようでなかった切ない系の純愛ゾンビ青春映画。 ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』が製作されてから40年以上が過ぎ去り、これまではゾンビ映画など作ってこなかったイスラム諸国や中南米、ヨーロッパ各国でも次々にゾンビ映画が製作されているようだ。...
View Article★ 『そんなガキなら捨てちゃえば?』
2012年。アメリカ。"FUN SIZE". ジョシュ・シュワルツ監督・製作。 かつてビースティー・ボーイズのアルバムのレコーディング・エンジニアとして働いていた父親を亡くした悲しみを、父親の形見だったデフジャム・レコーディングスのブルゾンを着ることで哀悼の意を表明しているけなげな少女、 レン(ヴィクトリア・ジャスティス)は、...
View Article★ 『あなたと私の合言葉 さようなら、こんにちは』
1959年。大映。 市川 崑監督。久利子亭原作・脚本。 この10年ほどで、昭和の日本映画のDVDなどによる普及にともなって、都市部では古い日本映画のリバイバル上映が盛んになり、中でも特に女優、若尾文子の再評価の動きは熱気をはらんでいるようだ。...
View Article★ 『氷点』
1966年。大映。 山本薩夫監督。三浦綾子原作。水木洋子脚本。 クリスチャンとして知られる三浦綾子のベストセラー小説を映画化した作品で、敬虔なクリスチャンらしく罪とは何かを考えつめたような内容にはなっているものの、...
View Article★ 『金星』
2011年。下北沢トリウッド/東京ビジュアルアーツ。 早川嗣監督・脚本。 視覚障碍者の青年がひそかに恋心を抱く少女を誘って山へハイキングに出かける。そこでカメラ愛好家の心ない大学生たちに勝手に写真を撮られてしまったことから互いにののしり合いになってしまう。 青年に付き添っていた介助者の女性とその兄は、青年と大学生との言い争いを黙って見ていることしかできなかった。...
View Article★ 『冬の小鳥』
2009年。韓国/フランス。"UNE VIE TOUTE NEUVE. (A BRAND NEW LIFE.)". ウニー・ルコント監督・脚本。イ・チャンドン製作。 孤児院(児童養護施設)が舞台の映画には傑作が多い。『この道は母へとつづく』、『オリバー・ツイスト』などが思い浮かぶが、長い間、孤児院ものの最高傑作は『サイダーハウス・ルール』だと思い込んでいた。...
View Article★ 『真夏の方程式』
2013年。フジテレビジョン/アミューズ/文藝春秋/FNS27社。 西谷弘監督。福田靖脚本。東野圭吾原作。 一見した印象は、ストーリーは異なるものの、ハリウッド版の『ドラゴン・タトゥーの女』を果てしなくしょぼくして、劣化コピーを繰り返した末に引き伸ばして映画にした商品、といったものだった。...
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